ザ・フー

ジミー・キンメル・ショー 2012

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Tommy Japanese tour

2012年にロジャー・ダルトリーが来日した時、最終日の名古屋公演の終わりに、ロジャーがその足でロサンゼルスへ向かうことが告げられました。ティーン・キャンサー・アメリカのチャリティのためです。

この動画は当時、そのチャリティのプロモートのために出演したテレビ番組「ジミー・キンメル・ショー」

トークショーの後に「ヤングマン・ブルース」の演奏があり、続けて「リアル・ミー」も披露されました。

トーク部分の日本語訳は動画の下にあります。

ここから〜〜〜

司会者:バンドの音楽がこの国のあらゆる科学捜査でサウンドトラック化されるそのずっと前、次のゲストはロックンロール界の見事な髪の毛の持ち主として称えられました。ザ・フーのリードシンガーで、毎年「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト」コンサートを主催しています。お迎えしましょう、ロジャー・ダルトリーです。

(ロジャー入場)

司会者:今でも美しい髪をお持ちだ。

ロジャー:まだあるって?

司会者:ありますよ。

ロジャー:そいつはありがたいね。

司会者:調子はどう?出演してくれて嬉しいです。ちょうど・・

ロジャー:(話を遮り)「俺の一部」だけなんだけどね。日本から戻ったばかりで。時差が変わってから文字通り2日目なんで、完全じゃない。

司会者:わかりました。少なくとも一部はここで我々と一緒に話してくれるんですよね。それが一番重要なことです。目下のところ、ザ・フーはどんな状況?

ロジャー:長い休暇中みたいなものだね、俺達のキャリアの殆どのように。

司会者:あなた達がお別れコンサートをやったのは、82年でしたよね。あの時にやったのは、「いや、あれは本当のお別れコンサートじゃなかった」と?

ロジャー:あれは「今のところはサヨナラ」だったんだ。バンドにはたくさんの問題があったからツアーをやめなくちゃならなかった。

司会者:ですね。

ロジャー:ちょっと違法薬物のせいでね。

司会者:プルトニウム?(笑)

ロジャー:ヘロインさ。それが上手くいった。だからそれで良かったんだよ。

司会者:だけど、それから好転したんでしょう。

ロジャー:うん、全部良くなったよ。でも今や、俺達は全員、耳が聞こえないけどね。ピートは耳に問題を抱えていて、俺は声に問題があったけど、(おまじないの「タッチウッド」でテーブルを触る仕草をして)ありがたいことにボストンにいる外科医が素晴らしくてね。処置をしてくれた。

司会者:それは良かったですね。

ロジャー:声が治ったんだし、耳も治るのを願ってるよ。

司会者:ちょっと耳にしたのですが、クレージーな話で、作り話の一つのようにも聞こえますけど、お聞きしたいと思います。あなたやあなたのバンドに、オリンピック委員会から連絡があったんですよね、ロンドンで開かれる夏季オリンピックに。これは本当ですか?

ロジャー:本当だよ。イギリスでなきゃ、こんなことは起きないね。

司会者:何が起こったのか教えてください。

ロジャー:つまり、(イギリス人である)俺達はすごくキチンとしてるんでね。俺達は手紙を・・、電子メールをもらったのさ、「キース・ムーンに開会式に出てもらえないか」っていう。マネージャーは電子メールで返信したんだけど、「実は、このところ彼は、『ゴールダーズ・グリーン火葬場』に居住中で、そこに35年間いるんです。でも、もし丸テーブルと文字盤、それにガラスのコップを少々用意してもらえれば、お返事できるかも・・」って。

司会者:降霊会で彼を呼び戻すんですね、そりゃあいい(笑)

ロジャー:これぞザ・フーだろ!

司会者:昔はキースがホテルの部屋を破壊する担当だったんですか?

ロジャー:実際のところ、彼の担当だったわけじゃない。(キースは)ミスター・タウンゼントに、かなりけしかけられていたんだよ。

司会者:なるほど。

ロジャー:ピートはよく(キースを)焚き付けていたものさ。あいつらはワル仲間だったね。

司会者:どうしてホテルの部屋を壊すんです?

ロジャー:ツアーに出て何ヶ月も過ごしたことあるかい?

司会者:ありません。

ロジャー:それは退屈この上なくなる。楽しいことも尽きてしまい、当然のように収拾がつかなくなってしまう。で、ここに新鮮な空気が・・・(テレビを窓から放る真似)

司会者:面白いことがなくなって?(笑)あなた達はたくさんのホテルから出禁をくらいましたよね、バンドの・・

ロジャー:(話を遮り)俺達はニューヨークのホテルのことごとくから禁止されちまったよ。なんちゅうこった。

司会者:今でも出入り禁止なところがあるのですか?

ロジャー:いやいや、実はさ、本当のところは、ホテルは俺達のことが好きだったのさ。損害分を払ってたものだから。

司会者:彼がですか?

ロジャー:現金でね。

司会者:現金で!

ロジャー:そうだ、俺達は現金で払い、ホテル側は保険金を請求する。「おかえりなさいませ、ミスター・ムーン!」ってなもんさ(揉み手で大笑)

司会者:国をまわってリフォームですね。

ロジャー:かつて俺たちがよく滞在してたホテルがニューヨークにあって、俺たちが行くと、ホテルが装飾したいと思う部屋をキースにあてがってたもんだ。

司会者:「エキストリーム・ホーム・メイクオーヴァー(住宅リフォーム番組)」に似てますね、キースはタイ・ペニントン(同番組ホスト)みたいだったと。

ロジャー:全くだ。

司会者:さて、これから話して頂くのは、あなたがイングランドでずっとされて来た活動で、今ここでもされるのですよね、「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト」と。そのことを少し、話して頂けますか?

ロジャー:俺の人生で、もう一方の情熱を注ぐものだ。というのも、ティーンエイジャーのサポートがなければ・・、基本的に、ティーンエイジャーのサポートがあって、今日我々が知る音楽ビジネスでのロックン・ロールが築かれたんだから。

俺はがんを患うティーンエイジャーの支援に関わって来た。医学の専門家や病院組織が、子供達を非常によく扱っていることに驚かされたからね。大人にも非常によく応じている。だが、ティーンエイジャーには、殆どないか、事実、ほぼ何もないと言っていい。

12歳から20歳・25歳・・、25歳にしとこうか、ティーンエイジャーががんに罹ると、他のどの年齢層とも異なる問題を抱えてしまう。精神的に、ものすごい変化を経験する。彼らのがんは劇的に悪性化する。スポーツとかやってるから、診断が遅れる傾向にある。相応しい扱いを受けられない。

それで、俺がやる事・俺達が25年間イギリスでやってきた事というのは、病棟を建てることなんだ、イギリスではそう(病棟と)呼んでいる。ここではなんと呼ぶのかわからないが、・・ここのシステムは俺達のとは違うからね。俺達はティーンエイジャーに特化した病棟を建てるんだ、彼らが一緒にいられて、人生を中断させないように。

彼らは教育を受け続けられる。やっていることをそのまま全て組み合わせて進められる。MTVを一晩中見たっていいし、やりたいことができるんだ。脳腫瘍を摘出した状態から目を覚まして、(幼児向け訪問の)二人のピエロが走ってるのを見なくて済む。一人はウクレレを持ってて、もう片方はスプーンを持ってるやつだ。隣の部屋では赤ん坊が泣き叫んでる。本当にある話なんだよ。もっと悪くすれば、隣の部屋には老いぼれがいるのさ、俺のような。俺たちがやってるのはそれさ、ここに(若年患者のチャリティを)持ち込むためにね。

司会者:ポール・マッカートニーとの慈善コンサートですが、・・あなたと一緒の、向こう(イギリス)の慈善コンサートです。以前にも一緒にステージ立ったことは?

ロジャー:あるよ。ライヴ・エイドをやった。

司会者:ああ、そうですね。オーケー。

ロジャー:遠い昔だよ。

司会者:お越しくださいまして有難うございました。歌って下さるんですよね?

ロジャー:ああ。

司会者:ダルトリー&タウンゼントのがん患者へのプログラムがここロサンゼルスですぐに見られ、国中に広められます。(番組はCMの後)すぐにロジャー・ダルトリーと共に戻りますよ。

〜〜〜〜ここまで

ロジャーの日本ツアーのベーシストは、現在ザ・フーのツアーにも同行するジョン・ボタンが予定されていましたが、来日直前に事故で負傷し、危うくツアーが中止になるところでした。そこに急遽、元メタルバンドのUNIONやデイヴィッド・リー・ロスと活動していたジェイミー・ハンティングが参加。
東京に着いてからリハーサル2日で全ての曲を覚えたジェイミーですが、ここロサンゼルスでも更なる窮地に陥ります。
リハーサルもなく、得意な12弦ベースも持ってきていないのに、ロジャーのツルの一声で、「リアル・ミー」を一発即興で、人生で初めて弾く羽目になったのです。しかもオリジナルキーじゃないのに・・(笑)プロって凄い!

その公開処刑になったその動画がこちら。https://www.metatube.com/en/videos/136150/Roger-Daltrey-Performs-Real-Me-On-Jimmy-Kimmel-Live/

2012年の日本ツアーは、まだ大震災の記憶も鮮明で、なかなか立ち直れなかった頃。「トミー」という再生をテーマの一つに持つ作品はもちろん、果敢に全くの新しいことに挑戦するジェイミーの姿にも心を打たれました。ヘヴィでグルーヴィな音がフーの歌に合っていて、フーとして参加する姿も見てみたかった。

きっちり仕上げた非の打ち所のない「トミー」、公演毎に少しずつ変更するそれ以外の曲のアレンジ部分、新入りのベーシストが入った緊張感、そしてフランク・サイムズの絶妙な通訳・・・、ステージの近さ、全てが混ぜ合わさってミラクルになり、極上のツアーだったと思います。

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