トミー


トミー (Tommy)

・オリジナルアルバム『トミー』

 

両親の殺人を目撃し、「耳が聞こえず、口が利けず、目が見えない」三重苦となった少年、トミーのスピリチュアル・ジャーニーを描いた作品。

リチャード・バーンズによると、ロック・オペラ」という言葉を最初に使ったのは、『トミー』が誕生する3年前の1966年、ピートがBBCテレビ番組『Goon Show』のような声で『Gratis Amatis』と一時間ほど歌い続けたテープをマネージャーのキット・ランパートに聞かせたときだと言う。
その場に居合わせた友人が「ロック・オペラだ」と言い放ち、笑いころげた後、キットはあるアイディアを思いつく。

クラシック作曲者コンラッド・ランパートを父に持つキットは、オペラの組み立て方に熟知していた。それは『クイック・ワン (A Quick One While He's Away)』で一続きの物語となり、『ラエル (Rael)』でオペラ形式の曲調、とピートが徐々に習得していく手助けとなる。

導師ミーハー・ババの影響を受け、神秘主義に傾倒したピートは、「異なる意識の在り方」を伝える物語に取り組む。やがて「ヴァイブレーション」を通してしか物事を感じられない少年の話は、三重苦の少年、トミーの話になる。

宗教色を弱めたいキット・ランバートによる最初の構想は、1921年〜2001年に渡る時を超えた壮大なサイエンス・フィクションだった、と元共同マネージャーのクリス・スタンプは語っている。

最初に出来た曲はAmazing Journey。

 

「音楽的特徴」

『ピンボールの魔術師』
当時影響力のあったロック・ジャーナリスト、ニック・コーンから評価されたいと願ったピートは、ニックがピンボール好きであることに着目する。
急いで走り書きした曲は、歌詞の長さは全部同じ、ミドル・エイト(32小節のAABAのBの部分)が欠落。そこに『I'm A Boy』で使ったモック・バロック風のギターを加え、フラメンコ・ギター調にし、イントロのリフが出来上がった。

クリス・スタンプによれば、ミキシングを行なったのは全てキットで、ザ・フーは関わっておらず、構成を「ベース、ドラム、ギターのみ」にするのもキットのアイディアとのことだが、リチャード・バーンズのライナー・ノーツに従えば、キットがオーケストラを入れるのを希望したのに対し、ライブで再現出来るようにバンドを主軸に構成したのはピートの希望になっている。

いずれにせよ、構成は基本のバンドにキーボード、ハモンドオルガン、ジョンのホルンを加えたのみ。

『スパークス(Sparks)』
セル・アウトに収録されたラエル(Rael)の一部が使われている。

財政的に困窮していたバンドは、収録中にもツアーを強いられたが、一台きりのドラムセットをその度に組み立て直し、同じ音質を確保するのは難しかったという。

『光を与えて(Eyesight To The Blind)』

アルバム中、唯一サニー・ボーイ・ウィリアムソンIIのオリジナルをカバーしている。『ヤングマン・ブルース』を入れるアイディアもあったが実現しなかった。

 

Tommy Box Set

・映画『トミー』ケン・ラッセル監督

 

・ブロードウェイミュージカル版『The Who's Tommy』

・Glee トミー・スペシャル

・ロジャー・ダルトリーのトミー・ツアー こちらを参照

投稿日:2012年6月30日 更新日:

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