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世界のことはザ・フーに聞け!

投稿日:2012年8月4日 更新日:


世間やTwitterを賑わさせているACTA (Anti-Counterfeiting Trade Agreement「模倣品・海賊版拡散防止条約」)だが、日本では二次創作禁止やサイトの検閲に繋がりかねない点が懸念されているようだ。

EUでは、このACTAを既に欧州議会で否決している。
深読みすれば、日本発米国主導のACTAではなく、オリンピックを契機にEU主体の同じような条約を作ろうという動きがあるのかもしれない。

実はザ・フーも、ロバートプラント、ブライアン・メイ、アンドリュー・ロイド・ウェーバー、エルトン・ジョン、といった音楽界の著名人達と連盟で、著作権保護を訴える嘆願書を英キャメロン首相に送ったばかり。
http://www.telegraph.co.uk/comment/letters/9421416/Musicians-need-strong-copyright-laws-to-excel-globally.html

日本の報道では一部、Googleを名指ししているが、実際の嘆願書にはプロバイダーと検索エンジンとしか書かれていないことに留意して欲しい。「2010 年デジタル経済法(Digital Economy Act 2010)」の施行を早め、違法サイトからの消費者やクリエイターの保護を訴えている。

いずれも英国を代表する音楽界の重鎮だが、新しい国際政治経済論をさりげなく取り入れている点に着目したい。

"Competition in the creative sector is in talent and innovation, not labour costs or raw materials." という部分だ。
現在の世界経済は生産にあたり、従来型の「工場を作り、資本を投資する(初期費用)」という順番が省かれ、知的財産という「初期投資ゼロ」型に推移している。
従来型産業は土地、原材料という(限りある)規制を持つために収益(成長)に限界があるのに対し、基盤が知的財産であれば、収穫逓減性が少なくなり、それが国際間競争に直結していく。
産業革命により発展したイギリスだが、その技術が他国にシフトすれば、発展に限りが見えて来るというパワーシフト論だ。

(フー馬鹿には、さながら以前質問に答えてくれたときにピートが引用していた「物質界」(=従来型産業?)「精神界」(=知的財産型産業?) のようにも置き換えられるのだが)

他にもこの嘆願書には英語の優位性を訴え、如何にも大英帝国という大国のプライドが見え隠れしている気がする。
オリンピック開会式では、この国の寛容性で世界に創造を分け与えてやってるんだぞ、という彼等の自負が強く感じられ、と同時に、これだけの技術と自前の音楽を持ち、大英帝国が世界にどれだけ貢献しているのかも改めて気付かされた。

確かにこの財産は守るべき価値があると見なされ、先日の英国政府主催の王立美術院で開かれたレセプションにロジャー・ダルトリーも招かれていることから、英国経済への影響が大きく、今後も期待を担っているようだ。

因みにロジャーは、ポール・マッカートニーらと共に、「音楽録音物に関する演奏者とレコード製作者の権利保護期間」を現行の50年から95年に延長する運動も行なっている。(2011年EU理事会で可決)

ピートが昨年BBCで行なったジョン・ピール基調講演では、iTunesに関するバンパイア発言だけが一人歩きしてしまったが、従来のラジオと比較し、若いアーティストの成長を育むような仕組みの提案をしており、そこでも著作権使用料の支払いを訴えている。
この一連の動きに、まだ日本に上陸していない、欧州ベースの音楽クラウドと何か因果関係はないのかも個人的に気になっている。

開会式前のカウントダウンにザ・フー、そして閉会式にもザ・フー。

大英帝国でザ・フーがどれほど重要視され、愛されているかが伺える。

ザ・フーを追えばきっと世界の音楽業界の動きが見えてくる(はず)。

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