いよいよ来月に迫ったザ・フーの『四重人格』ツアー。
最近行なわれたサイモン・タウンゼントのインタビューが面白い。
『四重人格』のリハーサルの様子を語り、なんとロジャー・ダルトリーと共に原曲キーやピッチを比較検討しているというではないか。
これはザ・フーの将来のパフォーマンスにも関わる、非常に興味深い発言だ。
『四重人格』ツアーの発表以来、何度かインタビューでピートが「ギターでは簡単だが、どの曲もボーカル的には大変だ」と答えていた。
これまでババ・オライリィのバッキングトラックに縛られてキーを変更出来ないという噂があったものの、技術的にはテンポを変更せずにピッチだけを変えることも可能なわけで、実際、ロジャーのソロツアーでは『リアル・ミー』がCからAへとキーが3度下げられていた。
もともとロジャーの音域に合わせて作られた曲ではないものを「長年オリジナルキーで歌っているのは驚異的」とも言われていたが、ソロツアーという自由な裁量、フランク・サイムズという有能なメンバーの加入、そしてテクノロジーの発達で色々なことが比較的容易になったのだろう。
結局参加しないことになったラビットが装備を売り出し、新しいプログラムを組んでいたのもこの辺に何か関係がありそうだ。
さて、サイモンのインタビューでは、『ゴーイング・モバイル』のことを「何を歌いたい?」と聞かれて選んだように発言しているが、これは「ピートの曲」を選んだのであって、最初から『ゴーイング・モバイル』ではなかったのではないかと思っている。なぜなら2009年のツアー初期にはロジャーが歌っているからだ。
いずれにせよ、サイモンは来る『四重人格』ツアーで、『ダーティ・ジョブズ』を担当するそうだが、その他の曲、特に『愛の支配(Love Reign O'er Me)』でのキーの変更があるのか、ロジャーの決断に注目したい。
更にこのサイモンのインタビューでは、前回(96〜97年)の『四重人格』ツアーについて、テンポがスローであったことにも触れている。
この点も次のツアーでは、オリジナルのアップビートに近いものになるのか、気になるところだ。
今になって考えてみれば、日本を発ってすぐに出演したトークショー「ジミー・キンメル・ライブ!」での『リアル・ミー』は既にその前触れでもあったのかもしれない。
あれもAで演奏されていたので比較のためにリンクを貼りたかったが既に非公開に設定されていた。
サイモンのインタビューについての詳細はこちらで。
こちらは投稿者が1970年のリーズと2011年7月13日のサウスエンドの公演からロジャー・ダルトリーが歌う『ヤングマン・ブルース』をミックスしたもの。