ザ・フー ピート・タウンゼント

ピート・タウンゼントの名言:ロックンロールは・・・

投稿日:2018年4月13日 更新日:


『ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし、逃避させてもくれない。ただ、悩んだまま踊らせるのだ』

ピート・タウンゼントの名言に迫る:第1回目

「ザ・フー」「ピート」「名言」で検索すると必ず出てくるこのセリフ。

否定的に捉えれば (1)「結局ロックンロールは救いにならない」

肯定的に解釈すれば (2)「答えなんかない」「それでもロックンロールで踊り続けろ」?

訳者不詳のまま、ロック好きにガツンとウケる「名言」としてすっかり定着しています。

ところが、これ、ピート・タウンゼントが本当に言ったのとは少し違うのをご存知でしたか?

ここではこのセリフの引用元を示し、検証していきます。

この、ピートの言葉が『一人歩き』した現象ですが、何も日本国内に限ったことではありません。

英語で原文を検索してみましょう。
すると、

(3) 'Rock 'n' Roll might not solve your problems, but it does let you dance all over them'

という文章がまず出てきます。英語圏でも短縮バージョンがすっかり根付いちゃった感じ。

直訳「ロックン・ロールはお前の問題を解決しないかもしれない。だが、その(問題の)至る所で踊らせてくれる」

これだと邦訳の「逃避させてもくれない」に当たる部分がないですね。

もう少し長いのになると、この画像のようになります。

pete_rocknroll

 

 

主語が「ロックミュージック」に変わってますね。

ニュアンスも少し違ってきていますよ。

直訳「ロック・ミュージックは人々にとって大切だ、このクレージーな世の中から逃避させてくれるから。そこにある問題から逃げ出さないで直視させてくれるのと同時に、その(問題の)至る所で、ちょっと踊らせてくれる。そいつがロックンロールの何たるか、なのさ」

もう一度上の英文の短縮バージョン(3)を見てみましょう。
(4)に比べ、最初の部分が思いっ切りまとめられているのと、強調のdo[es]があって、「マジ、踊らせてくれる感」が強まっています。

 

要約すれば「lt's only rock'n'roll but I like it!(たかがロックン・ロールだけど、それが好き)」な「ロックンロール万歳!」ムード炸裂。
(2)の邦訳のネガティブ解釈編「結局ロックンロールは救いにならない」とは正反対ですね。

(4)の長尺板を見ると、もっと回りくどくて、いかにもピート・タウンゼントらしい、「掴まえたと思えばスルリと手の中から抜けていく」、漠然として「雲を掴む」ような印象。

では、なぜこのような「伝言ゲーム状態」になったのでしょうか?

それは、この元々のセリフが印刷媒体に基づいたものではないからです。

次は発言の前後を含み、どんな文脈で語られたのかを綴っていきます。

 

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