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ザ・フーのドキュメンタリー映画「アメージング・ジャーニー」をご覧になった方であれば、ピート・タウンゼントの「ギター破壊」は、前衛芸術家グスタフ・メッツガーの自己破壊芸術を踏襲したのはご存知でしょう。

投稿日:2017年3月3日 更新日:


ザ・フーのドキュメンタリー映画「アメージング・ジャーニー」をご覧になった方であれば、ピート・タウンゼントの「ギター破壊」は、前衛芸術家グスタフ・メッツガーの自己破壊芸術を踏襲したのはご存知でしょう。ピートはアートスクール時代に講義を受け、最初は偶然に壊れたのが、次第に意図してやるようになっていきました。

ロジャーによれば、「実際のその場のノイズ」と「アンコールをやらずに済む」利点もあったそうです。

そのメッツガーが90歳で他界し、ピートが公式サイトにメッセージを寄せました。
ザ・フー公式サイトthewho.comの許可を得て翻訳しています。

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グスタフ・メッツガー 1926年生まれー2017年没

グスタフほど穏やかな人間には出会えないだろう。礼儀正しく、親切で思いやりがあって、その上、タフで確たる意思を持っており、最後まで活動家だった。

若い時には彼のマニフェストを誤解していた。アーティストは、我々が今日「エリート」と称する人々(彼はかつて、彼らを「ブルジョワジー」と呼んだ)のために、綺麗なものや美しいものを作るのはやめるべきだ、と教えていた。芸術は、その代わりに、我々が世界を破壊している様子を反映すべきだ、と。だから俺は、それを大体のところできちんと理解して、ギターを破壊したのだ。彼は決してカッとならず、暴力的でもなかったが、とてもパワフルだった。俺とは違い、彼は自分の破壊性を冷静には止められなかった。

最後の25年間というもの、不要な空の旅に対し、グスタフは最も積極的な抗議者だった。空気を汚して遠い国の絵画を見に行くなど、芸術に対する悪だと言っていた。芸術が自分のところにやって来るのを待て、と。(畜生!更なるツアーだぜ!)

最終的なグスタフの重要なメッセージは、雄弁で、時代の先を行くものだったが、我々がみんな、今日感じているものと一致している。我々は、「自然」を「環境」と呼ぶものに置き換えている、と彼は述べたのだ。

これは大事なことである。自分たちの環境を守ることを、我々は説く。だが、グスタフは、聞く耳あるものに、本来の「自然」とは、将来の世代が失ってしまうものだ、と気づかせていたのだ。彼が用いたのは、キツすぎるほど極端な比較だった。「自然」とは景観の損なわれていない河や、森林のことである、と言っていた。「環境」とは、ディズニー・ランドである、と。どちらも人間には心地よい、しかし片方は、「自然」が我々に与えるものに、不快さや危険を抜きにして触れ合えるように試みた、完全に人間の手によるものなのである。

2017年3月2日
ピート・タウンゼント

〜〜〜〜〜引用ここまで

以前、ファン・インタビューで、ピートへ「自己破壊芸術への見解と現在のパフォーマンスへの深化」を尋ねると、メッツガーの自然論と、それに対するアーティストの「精神界か物質界を選ぶ覚悟」を回答してもらったことがあります。
謹んでご冥福をお祈り致します。

ザ・フー公式サイト及び当ページのテキスト及び画像の無断転載は固くお断りします。
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文 © Pete Townshend
翻訳 ©kallan
2017 ©thewho.com

英語原文:http://www.thewho.com/gustav-metzger-1926-2017/

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